私は、無善造悪の凡夫でありますが、言うて聞かせて下さるおいわれは、仏の心でありますから、その仏の心に、同心する、つまり、順うものは、仏の心となるのであります。
『浄土真宗 信心』(加茂仰順師)より引用
九 および声を、聞く
八
「願成就文」でなければ、第一に、「聞く」ということがわからないのです。聞くということがわからないと、弥陀の廻向ということが分らないのです。なぜかと申しますと、聞くということが、弥陀の廻向にあう場所であるのであります。
弥陀は、説き聞かす声から、廻向をなされるのであります。
人間には、六識と申しまして、眼、耳、鼻、舌、身体、意識、があります。その中で、ただ声だけで、我心を人に伝える役目をするのです。
阿弥陀如来は、この人間の性得に、はまるように、弥陀の心、即ち名号の心を、声によって、我々にお伝え下さるのです。
声からお伝え下さるというても、弥陀の境界と、我々の境界とが、たいそうちがいますので、直接の弥陀の御声を、我々は聞くことができません。
そこで、阿弥陀如来は、第十七願によって、「十方世界の無量の諸仏、悉く咨嗟して、我が名を称せずんば、正覚をとらじ」と、御誓い下されたこの第十七願の通りに、お釈迦さまが、我々に教えて下されたものであって、その声が御経となって伝っているのであります。
声は、声のままには、伝わりません。声は現在だけで、未来も、過去もありません。これを未来に伝えようとすれば、どうしても、これを字に書きあらわさねばなりません。それですから、字は声だということもできます。
九
お経に書かれてあることは、お釈迦さまの声であります。お釈迦さまの声は、阿弥陀如来の声を伝えられたものであります。
そのお経の心を聞くのは、弥陀、釈迦二尊の声を聞くのであります。その声の中には無量の功徳がふくまれてあるのであります。
私は、無善造悪の凡夫でありますが、言うて聞かせて下さるおいわれは、仏の心でありますから、その仏の心に、同心する、つまり、順うものは、仏の心となるのであります。
それですから、よき師のお話を聞くというのは、仏の教えを耳から、心の中へ移して貰うのであります。
いま法のいわれを、耳から聞いて、同心がなられたら、法に同化したのであって、物を口で食べて消化したのと同じこととなります。
蓮如さまは、「思案の頂上と申すべきは、弥陀如来の五劫思惟の本願にすぎたる事はなし。この御思案の道理に同心せば、仏になるべし。同心とて別になし。機法一体の道理なり」と仰せられました。
(p.92~p.95)
九 および声を、聞く
八
「願成就文」でなければ、第一に、「聞く」ということがわからないのです。聞くということがわからないと、弥陀の廻向ということが分らないのです。なぜかと申しますと、聞くということが、弥陀の廻向にあう場所であるのであります。
弥陀は、説き聞かす声から、廻向をなされるのであります。
人間には、六識と申しまして、眼、耳、鼻、舌、身体、意識、があります。その中で、ただ声だけで、我心を人に伝える役目をするのです。
阿弥陀如来は、この人間の性得に、はまるように、弥陀の心、即ち名号の心を、声によって、我々にお伝え下さるのです。
声からお伝え下さるというても、弥陀の境界と、我々の境界とが、たいそうちがいますので、直接の弥陀の御声を、我々は聞くことができません。
そこで、阿弥陀如来は、第十七願によって、「十方世界の無量の諸仏、悉く咨嗟して、我が名を称せずんば、正覚をとらじ」と、御誓い下されたこの第十七願の通りに、お釈迦さまが、我々に教えて下されたものであって、その声が御経となって伝っているのであります。
声は、声のままには、伝わりません。声は現在だけで、未来も、過去もありません。これを未来に伝えようとすれば、どうしても、これを字に書きあらわさねばなりません。それですから、字は声だということもできます。
九
お経に書かれてあることは、お釈迦さまの声であります。お釈迦さまの声は、阿弥陀如来の声を伝えられたものであります。
そのお経の心を聞くのは、弥陀、釈迦二尊の声を聞くのであります。その声の中には無量の功徳がふくまれてあるのであります。
私は、無善造悪の凡夫でありますが、言うて聞かせて下さるおいわれは、仏の心でありますから、その仏の心に、同心する、つまり、順うものは、仏の心となるのであります。
それですから、よき師のお話を聞くというのは、仏の教えを耳から、心の中へ移して貰うのであります。
いま法のいわれを、耳から聞いて、同心がなられたら、法に同化したのであって、物を口で食べて消化したのと同じこととなります。
蓮如さまは、「思案の頂上と申すべきは、弥陀如来の五劫思惟の本願にすぎたる事はなし。この御思案の道理に同心せば、仏になるべし。同心とて別になし。機法一体の道理なり」と仰せられました。
(p.92~p.95)
スポンサーサイト