真実信心のおもむき(3)ー「たすけたまへ」とは

『親鸞の世界』(加茂仰順師)より引用

 そしてまた、南無阿弥陀仏の南無は梵語で、中国のことばにすれば帰命ということであります。この帰命ということについて、あるいは自身の生命を投げ出してわたくしを助けてくださいと、仏に請い求むることであるとし、あるいは小さい自分の生命を大きな仏の生命へ還すことであるともされた者もありますが、親鸞聖人は仏へ対しては、そのように一生懸命に救いを求めるというような、水くさい心で向うのではないとされています。また命を仏に還すというような理くつばったことは、温い仏のお慈悲の前でのことではないとされました。つまり、「帰」はしたがうことであり、「命」は仏の仰せであり、勅命でありますから、仰せのありだけを聞くまま、仰せのままに、わが身全体がうち計らわれることであるとされたのであります。仏の仰せは「必ず助けるぞ、まかせよ」ですから、その仰せにしたがったというのは、助けてくださるままになったということであります。だからそれが「仏をたのんだ」のであり、信じたのであります。
 蓮如上人はこのたのむ心持を「たすけたまへ」とあらわされました。これが一面にはいろいろと誤解されたこともありましたが、これは信頼し、たのんだ心持ですから、ひじょうにあざやかに信心の心持ちがあらわされてあるのであります。すなわち「たすけたまへ」は、どうぞ助けてくださいと仏へ請い求める意味ではなく、仏の仰せが、「たすけたまふ」というのですから、それをいただいたわたくしの上では「たすけたまへ」(たすけまします)であります。つまり「ふ」が「へ」に変わったのであります。そこで、「へ」の字の意味が明らかになれば、その心持ちもはっきりしますが、この場合は、「許諾」の意味であります。たとえば、お酒を十分にいただいてもう一滴も飲めなくなったとき、お引き受けの側が、ぜひお酒を受けてくれと、無理にすすめて来ました。それなら「つぎたまえ」という場合、この「たまえ」が今の許諾の意味の使い方であります。仏は助けたくてたまらない。助けねばおかぬとある仰せであります。その仰せに対して、それを許して、仏の思召のままにお助けあそばせと、わが身全体が仏に計らわれてしまうのであります。ここにやるせない仏の思召と、何の世話もないわたくしの信楽のすべてが出てくるのであります。
 ここでもう一つ押していえば、名号といい、勅命というのは、仏のお救いのはたらきのあらわれたものですから、それを聞くところに、仏のお救いがわたくしの中にとどいてくださるのであります。「たすけたまへ」という信心は、「たすけたまふ」仏のお救いに助けられたすがたであります。ここに微塵もわたくしの計らいがまじわる余地はなく、仏のお救いが入り満ちたのであります。だから仏のお救い以外は何物もないのであります。お助け一つであります。
 これを覚如上人は「この信心をばまことのこころとよむうへは凡夫の迷心にあらず。まったく仏心なり。この仏心を凡夫にさづけたまふとき、信心といはるるなり」(最要鈔)と示されてあります。また、親鸞聖人の三一問答(信の巻)にしましても、わたくしは虚仮不実でまことはない。それで仏がまことを成就して、わたくしへ与えてくださるのであると仰せられるのであります。虚仮不実のかたまりのわたくしに、真実信心のできる訳はありません。全く仏のおまことが入り満ちてくだされたからであります。

(p.300~p.302)
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聞くとは

我が身は金輪際「聞かない」者だと思います。その聞かない者が「聞く」とはどういうことを言うのでしょうか。聞かない者が聞くようになるということでしょうか。それとも聞かない自体のまんまでそこに「南無阿弥陀仏」が届いており,そのいわれを聞いて疑いないことを言うのでしょうか。我が機ばかりを見ていた視点を法に向け,その法が間違いないとハッキリするということでしょうか。
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ただし「真偽検証」は今まで馴れ親しんだ名前ですし、親鸞会教義が親鸞聖人の正しい教えなのかどうなのか、一人一人が真偽を検証して頂きたいと思い、ブログのタイトルとして残しました。
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