信心の利益について(1)ー現生十種の益

『親鸞の世界』(加茂仰順師)より引用

 仏のお救いに救われたすがたが信心であるということは、いままでに述べてきたことであります。そこには仏のお救いがわたくしたちの上にいろいろとはたらきをあらわしてくださるのでありまして、それが信心の利益であります。その利益には、現世において直ちに受する利益と、来世お浄土へ生まれて後に得る利益とがあります。前のものが現益、後のものが当益といわれていますが、それは現世にある利益と、当来にある利益という意味であります。
 そこでまず現益は正定聚の人となるのであります。正定聚というのは、浄土に参って仏になるに定まった者という意味です。すなわち「正」とは梵語で「サンミヤク」で完全にということ、「定」とは「ニヤータ」でしばりつけるという意味ですから、完全にしばりつける、つまり不生不滅の名号に完全にしばりつけられ、名号からぬけられない身となることであります。とかく現世利益といえば、神仏の特別のご利益で、病気が治癒するとか、その他困ったことが取り除かれて望みがかなえられたことをいうようですが、真宗の利益はそれとは性質を異にしています。親鸞聖人は現世利益のことをお示しになっていますが、これは一口にいえば正定聚の人となるということであります。つまり、仏の光明がわたくしの心に届かれ、名号がわたくしの中へ入ってくだされたのであります。それで、わたくしは仏の光明におさめとられ、名号をたまわって願も行も円かになったのですから、お浄土へ参らせていただくことに定まり、仏になることにきまったわけで、それでこれを正定聚というのであります。そして、その正定聚の中にふくまれている内容をとり出してみると、たくさんな利益となります。親鸞聖人はこれを現生十種の益と示されてあります。(教行信証の信の巻)

 (一) 冥衆護持の益、(二) 至徳具足の益、(三) 転悪成善の益、(四) 諸仏護念の益、(五) 諸仏称讃の益、(六) 心光常護の益、(七) 心多歓喜の益、(八) 知恩報徳の益、(九) 常行大悲の益、(十) 入正定聚の益、です。

 この中で、第十が正定聚に入るということで、これが全体をのべたもので、前の九がその内容としての利益であります。(一)はわたくしたちの見ることのできない仏や諸天善神が、影の形に添うようにまもってくださることであり、(二)はあらん限りの功徳を身に具足することであり、(三)はわたくしの善も悪も共に仏の善にさせられるのであり、(四)は諸仏がおまもりくださることであります。また(五)は諸仏がおほめくださることであり、(六)は弥陀のお心のあらわれたところの光明に常にまもられることであり、(七)はお救いにあずかったのでありますから、その心によろこびが多いのであります。(八)は心によろこびが多いところには、また仏のご恩をわからせてもらい報ずる心が出てまいります。(九)はその仏のご恩を知らされて報ずる心が出てまいりますから、常にみ名をたたえると共に、仏の慈悲を心として身に行なってゆくことになります。これらの九つはいずれも入正定聚の者の利益であります。この中には、自分に知られることもあれば、知られないこともあり、心やすがたの上にあらわれることもあれば、あらわれないこともあります。すなわち至徳具足の益や、転悪成善の益などはわたくしの心の上にはっきりと見えるようにあらわれることではありませんが、心多歓喜の益や、知恩報徳の益や、常行大悲の益などは、わずかながらでも知らせていただけるものであります。この現世利益は、世間でよくいわれる現世利益とその趣きが異なるのは、殊にこうした心多歓喜や、知恩報徳や、常行大悲というようなことがあげられてあることであります。つまり、わたくしたちは毎日とかく不平不満で暮していますが、これが心多歓喜として転換されるのであります。また、人に施した恩は忘れませんが、受けたご恩は忘れがちであります。そうしたわたくしたちが、知恩報徳の人とならしていただくということは、大きな変わりかたであります。また、すぐに利己的に動こうとするわたくしたちでありますが、それが常行大悲の生活へと展開してまいります。これらのことが、普通にいわれている現世利益とは異なるところであります。今ここでいう現世利益は、信心による人格の変化であります。つまりこのように人格の高められてゆく信心ですから、冥衆は護持し、諸仏は護念され給うのであります。

(p.309~p.312)
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(淳心房)
平成21年10月に親鸞会を退会し、「親鸞聖人の正しい教えを真偽検証する」ということで、専らコメンテーターとしてやってきました(^^)v
しかし、ようやく自分の中での真偽検証は終了したので、名前も改め、淳心房と名乗ります♪
ただし「真偽検証」は今まで馴れ親しんだ名前ですし、親鸞会教義が親鸞聖人の正しい教えなのかどうなのか、一人一人が真偽を検証して頂きたいと思い、ブログのタイトルとして残しました。
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平成21年8月に親鸞会を退会しました。淳心房さんと共同でブログを書いています。何かありましたらメール下さい~
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