正信偈の内容(9)ー御廻向の思召

『親鸞の世界』(加茂仰順師)より引用

   一

 天親菩薩讃仰のところには「広く本願力の廻向によりて、群生を度せんがために一心をあらはす」と仰せられてあります。このおことばは天親菩薩が経によって他力真実の一心をあらわされ、もって他を勧められたことを示すのであります。広くとは救われる者の広いことを示すもので、願力廻向の一心を因としまするがゆえに、天親菩薩のような徳の高いお方も、私たちのような凡夫もともに往生することができますから広くと示されるのです。だから広くとは為度群生の句に及ぼして「広く群生を度せんがために本願力廻向によりて一心を彰す」という意味です。由とは行者の一心は凡夫発起の安心ではなく、如来の本願力廻向によりて発起するところの一心であることをあらわされてあります。しかもその本願力とは第十八願であります。廻向とは如来より私たちにたまわるを申します。即ち一心帰命の安心は、如来の本願力によって与えられたところの他力の信心であります。しかも本願には三心と誓うてありますが、願力廻向の三心でありますから、ついに無疑の一心のほかはありません。
 また曇鸞大師のところでは「往還の廻向は他力に由る」と仰せられてあります。このことは如来の願力によって往相還相ともに廻向し給いて私たち衆生をこの世界からお浄土に、お浄土からこの世界に往還せしむることであります。これはいかなる方法で廻向されるかといえば、弥陀の功徳とはたらきを名号におさめ勅命として廻向し給うのであります。だから私たちはこれを聞信の一念によく領受いたします。このときの由他力の由の字は、私たちのすべては往還廻向の他力によるの意であります。

   二

 ここにおいて浄土真宗の根本のいわれは、阿弥陀如来の本願力廻向であることが明らかであります。つまりこの私たちのために、久遠のいにしえから動き出し、仏身を示し、仏国を開き、仏の名をあらわして、これを与えるために、唯今来てくださる如来のおまことを、私たちに打ち開いて受けさせてくださるのです。重い病気の子供はただの慈悲、ただの愛によって救われるものではありません。その愛のこりかたまった薬によって助かります。そのままを救うということは、その子供の苦しむままにその形を変えずに必ず癒る薬を与えるという意味であって、何物をも子供に与えず、子供を癒すという意ではありません。私たちはこのままで助かるものではありません。このままならば行先は永劫の闇よりほかはありません。如来はこれがためにそのお心をしぼって、いかなる者も受けやすいようにみ名となって、これをさとりの因として、私たちをその浄土に生まれさせようと仰せくださるのです。「仕上げた名号、これをそなたにあたえるから、心安らかに、心おきなく、わが名を称えてくれよ」と唯今差し寄せてくださるご廻向の思召が届いてくださるのです。「安心せよ」の仰せこそ親心のほとばしり出たものです。また一声でもよい申してくれとの思召を感ぜずにはおられません。
 とにかくこのご廻向の思召はわが無明の長夜を破るただ一つのものです。「この名号を与える」の仰せがつきつけられてあることを聞かされてみれば、単なる天上の月ではありません。わが身の中に打ちこまれてあります。私がこれでよいとか悪いとかいうのではなく、悪いから、また闇なればこそご廻向がなされるのです。如来のお慈悲は、ただ単に私を哀れみ、また単に私を見抜き給うのではありません。またただ私を呼び、ただ私を招き、ただ私を浄土へ迎えとってくださるのでもありません。ご廻向をはじめとして、「南無阿弥陀仏」のおまことを私に与え給うのです。如来のその生命をうちこんでくださるのです。如来の「助けるにまちがいない」の中から逃げられん身にさせられるのです。正信偈の根本義は、一にかかってこのご廻向にあると申さねばなりません。

(p.232~p.235)
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(淳心房)
平成21年10月に親鸞会を退会し、「親鸞聖人の正しい教えを真偽検証する」ということで、専らコメンテーターとしてやってきました(^^)v
しかし、ようやく自分の中での真偽検証は終了したので、名前も改め、淳心房と名乗ります♪
ただし「真偽検証」は今まで馴れ親しんだ名前ですし、親鸞会教義が親鸞聖人の正しい教えなのかどうなのか、一人一人が真偽を検証して頂きたいと思い、ブログのタイトルとして残しました。
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平成21年8月に親鸞会を退会しました。淳心房さんと共同でブログを書いています。何かありましたらメール下さい~
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