正信偈の内容(10)ー六字は法である

『親鸞の世界』(加茂仰順師)より引用

   一

 ここでひとつ、私たちの救われる六字は、法であるということについてうかがうことにいたします。
 西洋の宗教は人間を創造した神と、その神によって創造された人間との二つのものがあって、これを結びつける意味のものが宗教(レリジョン)であり、その結合の役目を果たすのが祈りであるとされています。ところが仏教は釈尊によって、人間の生活は法によってなされるべきものであると教えられました。だからレリジョン的のものではないというところから出発しています。そしてさきの祈りに対して仏教は帰依であります。帰依とは生の依るところ、死の帰するところという意味で、そしてその帰依の場所は涅槃です。それゆえその場所を私たちにあたえようとすることが出発点です。これが七高僧の流れです。しかもこうした流れにおいては、対象論理的なものは少しもありません。
 たとえば教えについて聞く者は、すぐにみ仏はあるのかないのか、浄土はどうであるかと問いにしますが、そのように私たちの考えるものがあるとか、ないとかというようなことを超えてましますのが仏であり、その浄土でなければなりません。質問そのものが間違っているのです。とにかく把握しようとすることはすべて対象論理の考え方です。ただし科学的論理は対象論理ですから、把握を第一とします。いま七高僧の伝統をうかがう場合において、対象論理ではなく、いわゆる場示的論理であることを知るべきです。つまり仏教の本質である空が場になってあるものです。つまり法のはたらきによる円環的論理です。法は私たちがあるとか、ないとかいうがごときのわくできめるべきものではありません。私たちのあるとかないとかは迷いの世界です。
 名号は法です。名号とは名義であり、声でありますから、私たちとしては聞です。聞は私たちの概念を破るものです。しかも法だからながめものにはなりません。
 私たちはとにかくもらおうと思い、もらえないことを悲しむのですが、それはすべてながめものにしているからです。名号の法はながめものどころではありません。一生涯頭の上がらんものであり、その頭の上がらんものに遇わされるのです。

   二

 私は我執のかたまりであります。仏に背いているのです。この私はこずかれものに遇うのです。頭の上がらん私には人を突く針があり、角があることが知らされてまいります。法に遇うまではそんなものは見えません。この我執のかたまりが恥ずかしいのです。いつも不完全な私しかありません。
 またどうすれば浄土へ往けるか。この私の案じが、すでに弥陀の思案であったのです。こちらが問題にしていた私が、すでに問題にされていたのです。私はいつも如来に背を向けている者です。その背中を向けているまま、それを離さないものが法です。回れ右して救われるのではありません。救いは許してもらうのでも、こらえてもらうのでもありません。救われない私が、救われないままで、見捨てられないものの場に置かれるのです。救われないもののままで救われるのです。この意味で、私の救いは、弥陀の本願の法以外にはないのです。彼の第十八願の唯除五逆云々の抑止門(おくしもん)の内容こそ、生まるべからざる者が、生まれしめられるのです。生まるべからざる者が救いの相手であり、それを生まれしめることが語られてあるのです。さらにいえば、私の救われないことが弥陀のいたみであり、それが五劫思惟の内容となっているのです。しかもその五劫思惟をあらわすものは「自身は現にこれ罪悪生死の凡夫」です。それは私の外へ向かって求めてゆくものではなく、内面の世界へとひろがるものであり、「自身は現に」と三世にひろがるものです。そこにはすでに法が先に来ているのです。私はすべて後手になっていたのです。
 要するに真宗の上において、あるいは名号をもって往生の業因とし、あるいは信心をもって往生の正因とし、あるいは称名をもって正定業と語られるということは、その体が名号法だからであります。しかもその法は向こうに置いてながめるものではなく、いまの私の上にはたらいてきておりますから、こちらはいっさい用事ができないのであります。

(p.235~p.238)
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淳心房&しゃあ

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(淳心房)
平成21年10月に親鸞会を退会し、「親鸞聖人の正しい教えを真偽検証する」ということで、専らコメンテーターとしてやってきました(^^)v
しかし、ようやく自分の中での真偽検証は終了したので、名前も改め、淳心房と名乗ります♪
ただし「真偽検証」は今まで馴れ親しんだ名前ですし、親鸞会教義が親鸞聖人の正しい教えなのかどうなのか、一人一人が真偽を検証して頂きたいと思い、ブログのタイトルとして残しました。
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平成21年8月に親鸞会を退会しました。淳心房さんと共同でブログを書いています。何かありましたらメール下さい~
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