往生浄土の意義(1)-正定聚と滅度

『真宗の教義と安心』(本願寺出版社)より引用

第五章 念仏者の利益
 第一節 往生浄土の意義

 浄土真宗の教義において、利益といわれるものは正定聚と滅度である。正定聚とは、まさしく成仏すべきことに定まった聚(なかま)という意味であり、滅度とは仏のさとりをひらくことである。これは、親鸞聖人が「証文類」の最初に「必至滅度の願」と題名を掲げられている阿弥陀仏の第十一願に、

 設我得仏、国中人天、不住定聚必至滅度者、不取正覚。
 たとひわれ仏を得たらんに、国中の人・天、定聚に住し、かならず滅度に至らずは、正覚を取らじ。(十七)

 (もし、わたしが仏になったとき、国の中の人々が正定聚に入り、かならず滅度に至ることができぬようなら、決してさとりを開くまい)

と誓われてあることに基づいたものである。
 さて、この願には定聚(正定聚)と滅度の二つが示されてあるが、この二つのうちのどちらかがこの願の中心であるのか、またこの二つにはどのような関係があるのかが、問題となる。
 まず最初の問題について述べれば、親鸞聖人は「証文類」に、

 つつしんで真実の証を顕さば、すなはちこれ利他円満の妙位、無上涅槃の極果なり。すなはちこれ必至滅度の願(第十一願)より出でたり。(三〇七)
 (つつしんで真実の証を顕せば、他力より与えられる功徳のかけめないすぐれた位、この上ないさとりの果報である。すなわちこれは、必至滅度の願に誓われてある)

と言われ、「必至滅度の願文」として、第十一願文を引用しておられる。すなわち聖人は、第十一願の中心は滅度にあると見ておられるのである。そして、正定聚については、「信文類」のはじめに「至心信楽の願 正定聚の機」(二一〇)と掲げられ、また本願成就文の「即得往生」の意味を示されるところに、

 獲得金剛真心者、横超五趣八難道、必獲現生十種益。何物為十。……十者入正定聚益也。
 金剛の真心を獲得すれば、横に五趣八難の道を超え、かならず現生に十種の益を獲。なにものか十とする。……十には正定聚に入る益なり。(「信文類」二五一)


と述べられている。その他、

 しかるに煩悩成就の凡夫、生死罪濁の群萌、往相回向の心行を獲れば、即の時に大乗正定聚の数に入るなり。(「証文類」三〇七)
 それ衆生あつて、かの国に生れんとするものは、みなことごとく正定の聚に住す。(『一念多念証文』六八〇)


等と言われて、これを現生に獲る利益であるとされている。すなわち、浄土真宗の教義における利益である正定聚と滅度は、正定聚が現生に、娑婆世界において獲る利益であり、滅度はいのち終えての後に、浄土において得る利益であるとされる。この点について蓮如上人は、

 問うていはく、正定と滅度とは一益とこころうべきか、また二益とこころうべきや。
 答へていはく、一念発起のかたは正定聚なり。これは穢土の益なり。つぎに滅度は浄土にて得べき益にてあるなりとこころうべきなり。されば二益なりとおもふべきものなり。(『御文章』一帖目四通、一〇八九)


と、正定聚の利益と滅度の利益とをはっきり分けて論じられている。これは、『歎異抄』に、

 煩悩具足の身をもつて、すでにさとりをひらくといふこと。この条、もつてのほかのことに候ふ。(第十五条、八四六)

といわれるように、現生にこの娑婆世界においてさとりを開くという理解に対する批判にその主眼があると考えられよう。すでに「信心」の章で述べたように、信心とは、阿弥陀仏の救済の法に対する信知(法の深信)と、自らの罪悪性、煩悩性についての信知(機の深信)とであって、この世ですでにさとりを開いたという理解が、真宗の教義に対する誤った理解であることはいうまでもない。(つづく)
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(淳心房)
平成21年10月に親鸞会を退会し、「親鸞聖人の正しい教えを真偽検証する」ということで、専らコメンテーターとしてやってきました(^^)v
しかし、ようやく自分の中での真偽検証は終了したので、名前も改め、淳心房と名乗ります♪
ただし「真偽検証」は今まで馴れ親しんだ名前ですし、親鸞会教義が親鸞聖人の正しい教えなのかどうなのか、一人一人が真偽を検証して頂きたいと思い、ブログのタイトルとして残しました。
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平成21年8月に親鸞会を退会しました。淳心房さんと共同でブログを書いています。何かありましたらメール下さい~
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