往生浄土の意義(2)-報土往生と化土往生、無上涅槃、還相の利益

『真宗の教義と安心』(本願寺出版社)より引用

第五章 念仏者の利益
 第一節 往生浄土の意義

(つづき)

 親鸞聖人は阿弥陀仏の報土を真実報土(真土)と方便化土(化土)とに分けられ、「真仏土文類」には、

 しかるに願海について真あり仮あり。ここをもつてまた仏土について真あり仮あり。(三七一)
 (ところで、如来の願海について真実と方便とがある。こういうわけであるから、また成就された仏土についても真実と方便とがある)

と述べられている。この仏土は、あるいは懈慢界(慢心しておこたりなまける世界)といわれ、あるいは疑城胎宮(本願を疑い、自力の執念によって自らのまわりに囲いをつくっている世界)といわれている。化土往生について親鸞聖人は、

 まことに仮の仏土の業因千差なれば、土もまた千差なるべし。(三七二)
 (まことに、方便の浄土に往生する因が、人によってみな異なるから、したがって、その受ける果報もみな違うのである)

と述べられ、一人一人の能力・素質に応じた往生であることを明らかにされている。第二章・第三章において明らかにした名号の力・はたらきによる往生、言いかえれば信心を正因とする往生は、一人一人の能力・素質にかかわらず、阿弥陀仏の願力による往生であり、これを報土往生という。聖人は化土往生の行者について、

 仏智疑惑のつみにより   懈慢辺地にとまるなり
 疑惑のつみのふかきゆゑ  年歳劫数をふるととく(六一一)
 仏智を疑惑するゆゑに   胎生のものは智慧もなし
 胎宮にかならずうまるるを 牢獄にいるとたとへたり(六一二)


と歌われ、仏智疑惑の罪人であると厳しく誡められている。
 さて、阿弥陀仏の真実報土について明らかにされている「真仏土文類」においてはその大半を費して涅槃について述べられている。すなわち阿弥陀仏の浄土は涅槃界(さとりの世界)であり、そこに生まれたものはただちに無上のさとりを開くのである。これは「信文類」の、

 念仏の衆生は横超の金剛心を窮むるがゆゑに、臨終一念の夕、大般涅槃を超証す。(二六四)
 (念仏の衆生は、他力回向の信心を得たものであるから、この世の命終わって、浄土に生まれたたちどころに仏果をさとるのである)

という文や、「利他円満の妙位、無上涅槃の極果」(「証文類」前出)の文に示されている。
 阿弥陀仏の浄土に往生したものは無上のさとりを得て仏と成るのであるが、その仏とは、善導大師が、

 自覚覚他、覚行窮満、これを名づけて仏とす。(玄義分)

といわれるように、自らさとる(自覚)と同時に他をさとらしめる(覚他)ことが完成したもの(覚行窮満)でなければならない。その覚他すなわち衆生救済のはたらきをなすことについて誓われたものが第二十二願である。この二十二願を親鸞聖人は還相回向の願と名づけられる。還相とは、すでに浄土に往生して仏果をひらいたものが、あるいは還って菩薩の相(すがた)を示すことや、あるいは穢土に還って衆生救済のためにはたらく相をいう。聖人は「証文類」の約三分の二を還相の釈に費やされ、浄土に往生して開くさとりとは、衆生救済の利他のはたらきの徳をそなえたさとりであることを明らかにされるのである。
 なお、浄土に往生してこの上ない悟りを開き、この上ない悟りを開いて還相という衆生救済のはたらきをするといっても、これを時間的な前後と理解してはならない。浄土に往生するということは、そのままこの上ない悟りを開くということであり、この上ない悟りを開くということは、そのまま衆生救済のはたらきをするということである。ゆえに「証文類」に還相を示されるのである。浄土往生と証大涅槃と還相利他の三つは、決して別々のことではなく、一つのことである点に注意しなければならない。

(六〇~六八頁)
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ぎぶっ

>絶倫棒様

仏さまは、苦しむ人を見て自分の苦しみと思い、その苦しみを救わずにはいられない御方です。「汝を救うぞ」の願いは南無阿弥陀仏となって、常に私に喚びかけられています。その降り注がれている願いを、計らいなく聞き受け念仏し、往生成仏を遂げる身と成って下さい。

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>秘密コメント様

そうですね。
私もこれからの夏、休日の昼間などは図書館などで改めて『真宗の教義と安心』や持っている本の読み直しをしたり、新しい本を取り寄せて読もうかと考えています。自宅でクーラーなしに過ごすのはきついのでi-229
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(淳心房)
平成21年10月に親鸞会を退会し、「親鸞聖人の正しい教えを真偽検証する」ということで、専らコメンテーターとしてやってきました(^^)v
しかし、ようやく自分の中での真偽検証は終了したので、名前も改め、淳心房と名乗ります♪
ただし「真偽検証」は今まで馴れ親しんだ名前ですし、親鸞会教義が親鸞聖人の正しい教えなのかどうなのか、一人一人が真偽を検証して頂きたいと思い、ブログのタイトルとして残しました。
一人でも見て下さる方があれば幸いです☆


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平成21年8月に親鸞会を退会しました。淳心房さんと共同でブログを書いています。何かありましたらメール下さい~
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