大経讃(5)「諸善万行ことごとく」の御和讃

今回は、親鸞会における「善のすすめ」の根拠として挙げられる

諸善万行ことごとく
至心発願せるゆゑに
往生浄土の方便の
善とならぬはなかりけり


の御和讃について取り上げます。


この御和讃の「至心発願せる」の解釈の仕方に二通りあります。一つは衆生が至心発願すると見る解釈、二つには如来が至心発願なさったとみる解釈です。


一つ目の衆生が至心発願すると見る解釈について、利井鮮妙師の『浄土和讃摘解』から引用します。

 此の一首は十九願の諸善萬行も發願の信に依て往生淨土の善根となることを示す。

 「諸善萬行」とは『觀經』一部の定散諸善にして即ち雜行のことなり。而して此の諸善萬行はもと聖道行なり。爾るに至心發願の心によりて淨土の方便善となるぞと示す意なり。

 「至心發願せるゆへに」とは、諸善萬行を修して淨土に往生せよと願ふを發願と云ふ。せるゆへにとは、至心發願したによりてと云ふことにて、本と聖道行たる諸行が淨土の行となるは發願の力にてなることを示す。

 「往生淨土の方便」とは、往生淨土は聖道に對し、方便は眞實に選ぶ。爾れば即ち往生淨土門中の權假方便の善となるぞとなり。『一多證文』(二十一丁)に「八萬四千の法門は、みなこれ淨土の方便の善なり。これを要門といふ、これを假門となづけたり」とあり。爾れば聖道の諸善萬行、發願の因に依りて淨土門の方便假門の善根とならぬはなしと示すが此の一首なり。



二つ目の如来が至心発願なさったとみる解釈については、香月院深励師の『浄土和讃己未記・巻四』をご覧頂きたいと思います。今回は、至心発願の説明の一部を引用します。

「又是を仏に約して解する時は、「諸善万行」は外の事ぢゃによて、是が弘願他力へ入る為の方便仮門になる筈はない。

然るに今、仏の方に此十九の願をおこして、諸行の者も遂には他力に入るやうにと御願ひなされた。この「至心発願」があるゆへに、あらゆる諸行がみな弘願他力へ入る所の方便仮門となる也。そこで「諸善万行ことごとく(乃至)なかりけり」とあり。此二義へ通ずるとみえる也。

けれども此和讃一首の全体を云ふ時は、仏に約する義がおも也。是が其処其処でみねばならぬことで、上の「至心発願欲生」の所も二義へ通ずれども、あそこはあたり前が十九の願の安心を挙げた処ゆへに、行者に約する義がおも也。

今この和讃は、十九の願の利益を結ぶ処なれば、弥陀にこの願をおこさせられた「至心発願」があるゆへに、諸善万行が浄土の方便の善となると仰せらるる方がおも也。故に言遣が「至心発願せるゆへに」とあり。是が行者に約する義がおもならば、「至心発願するゆへに」と云ふべし。

今「せるゆへに」と仰せられたは、三学六度等の諸善万行が浄土方便の善となるは、今初めて出来る事ではない。もと如来の方に、諸行のものでも往生させやうと至心発願したまへるゆへに、あらゆる善根が浄土方便の善となると仰せらるるのぢゃによて、仏に約する義がおも也。」



利井鮮妙師の解釈の中にもありますが、『一念多念証文』の中にも「浄土の方便の善」について書かれているところがあります。

「おほよそ八万四千の法門は、みなこれ浄土の方便の善なり。これを要門といふ。これを仮門となづけたり。この要門・仮門といふは、すなはち『無量寿仏観経』一部に説きたまへる定善・散善これなり。定善は十三観なり、散善は三福九品の諸善なり。これみな浄土方便の要門なり、これを仮門ともいふ。

この要門・仮門より、もろもろの衆生をすすめこしらへて、本願一乗円融無碍真実功徳大宝海にをしへすすめ入れたまふがゆゑに、よろづの自力の善業をば、方便の門と申すなり。いま一乗と申すは本願なり。」



本来、聖道門の行である諸善万行が、「往生浄土の方便の善」となるのは、衆生の側でいえば「至心発願」の信で実行するからです。

そのように「往生浄土の方便の善」となるのは、諸善万行によって浄土を願わせたいと、阿弥陀仏が「至心発願の願(19願)」を建てて下されたからです。

『一念多念証文』と合わせて拝読すれば、「浄土の方便の善」とは「本願一乗(18願)」に導く権仮方便の善であり、要門・仮門のことであることが分かります。また、その果は「化土往生」であることは、このブログで何回か書いてきました。

権仮方便であり化土往生の因ですから、報土往生をねがう人に、獲信の因縁として諸善万行を修せよと、親鸞聖人がお勧めでないことは明らかです。
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淳心房&しゃあ

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(淳心房)
平成21年10月に親鸞会を退会し、「親鸞聖人の正しい教えを真偽検証する」ということで、専らコメンテーターとしてやってきました(^^)v
しかし、ようやく自分の中での真偽検証は終了したので、名前も改め、淳心房と名乗ります♪
ただし「真偽検証」は今まで馴れ親しんだ名前ですし、親鸞会教義が親鸞聖人の正しい教えなのかどうなのか、一人一人が真偽を検証して頂きたいと思い、ブログのタイトルとして残しました。
一人でも見て下さる方があれば幸いです☆


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平成21年8月に親鸞会を退会しました。淳心房さんと共同でブログを書いています。何かありましたらメール下さい~
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