『教行証文類』の概要(7)ー往相と還相

『聖典セミナー教行信証[教行の巻]』(梯 實圓師)より引用

往相と還相

 親鸞聖人の往相・還相の二種回向説は、少なくともその言葉は、曇鸞大師の『往生論註下巻(『註釈版聖典』七祖篇一0七頁)』によったものです。しかし、意味を変えて用いられていたことに注意しなければなりません。曇鸞大師の場合、往相も還相も、回向する主体はいずれも願生の行者でした。浄土を願生する行者が、浄土へ往生していく過程において、この世で大悲心をおこし、自分の修得した行徳を迷い苦しむ人びとに回向し、自他ともに往生して仏道を完成しようとすることを往相回向といわれたのです。還相回向も、浄土に往生してさとりの境地に達し、思いのままに人びとを救済できる力をもった行者が、大悲心をおこして、迷いの境界に還って来て、苦悩の衆生を救済していく利他回向のはたらきを意味していました。

 ところが親鸞聖人は、二種の回向の主体を阿弥陀仏とし、願生の行者はその客体とみなされたのです。煩悩具足の凡夫を往生成仏させる阿弥陀仏の本願力のはたらきを往相回向といい、往生して仏陀としてのさとりを完成したものが、そのさとりの必然として十方世界に現れて自在に迷えるものを救済する還相も、阿弥陀仏の本願力のなさしめたまうわざであるとして、これを還相回向といわれたのです。こうして往還するのは行者ですが、その往相・還相を回向するのは阿弥陀仏の本願力であるというので、「本願力の回向に二種の相あり、一つには往相、二つには還相なり」(『註釈版聖典』四七八頁)といわれたのです。

 その往相について「真実の教行信証あり」(『註釈版聖典』一三五頁)といわれるように、『無量寿経』という真実教によって、南無阿弥陀仏が往生成仏の大行であると信じて称える行と信が与えられ、この行信を因として涅槃の浄土へ往生し成仏する証果が与えられることを往相回向というのです。

 また還相は、本来は浄土から煩悩の境界である穢国へ還り来って利他教化をするから還相というのですが、しかし「証文類」の還相の釈を見ると、浄土に往生して仏果を極めたものが、果より因に還り、菩薩としての相を示現して大悲利他のはたらきを行うことを還相といわれていますから、それは従果還因(果より因に還る)の相というべきでしょう。親鸞聖人は還相のことを「普賢の徳」といい、『浄土和讃』には「普賢の徳に帰してこそ、穢国にかならず化するなれ」(『註釈版聖典』五五九頁)と讃嘆されています。そしてその普賢という文字に、「われら衆生、極楽にまゐりなば、大慈大悲をおこして十方に至りて衆生を利益するなり。仏の至極の慈悲を普賢とまうすなり」(『浄土真宗聖典原典版』校異篇二三三頁)という左訓が施されています。これによって普賢菩薩のように従果降因(果より因に降る)して、菩薩の姿をとって人びとを教化するところに仏陀の慈悲の具体的な顕現があると見て、それを還相とされていたことがわかります。

 それは『華厳経』に、思いはかることも、説くこともできない仏陀のさとりの境界を、衆生に知らせて導くときには普賢菩薩という菩薩の説法として開示されるといわれたものによって還相の意義を理解されたものです。


(p.14~p.16)



「親鸞聖人は、二種の回向の主体を阿弥陀仏とし、願生の行者はその客体とみなされた」というところが大事です。親鸞会にいたときは、こういうことが全く分かっておらず、私が縦の線に向かって進むのだとばかり思い込んでいました。
しかし、それは正反対でした。全て阿弥陀仏のおはたらきであり、私は阿弥陀仏に計らわれるばかりでした。私というのは、お釈迦様の手の内を飛び回る孫悟空のようなものだと喩えた方がありましたが、まさにその通りだと思います。
そして、このように往相を回向された者はひとたび浄土に往生した後、

「浄土の慈悲といふは、念仏して、いそぎ仏に成りて、大慈大悲心をもつて、おもふがごとく衆生を利益するをいふべきなり。」(歎異鈔)

とあるように、還相の菩薩となって自由自在に衆生救済のために活動するのですね☆
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淳心房&しゃあ

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(淳心房)
平成21年10月に親鸞会を退会し、「親鸞聖人の正しい教えを真偽検証する」ということで、専らコメンテーターとしてやってきました(^^)v
しかし、ようやく自分の中での真偽検証は終了したので、名前も改め、淳心房と名乗ります♪
ただし「真偽検証」は今まで馴れ親しんだ名前ですし、親鸞会教義が親鸞聖人の正しい教えなのかどうなのか、一人一人が真偽を検証して頂きたいと思い、ブログのタイトルとして残しました。
一人でも見て下さる方があれば幸いです☆


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平成21年8月に親鸞会を退会しました。淳心房さんと共同でブログを書いています。何かありましたらメール下さい~
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