覚もよし、覚ぬもよし、共に仏智に信順するを以て当流安心の正義とす

「他力の信心を獲ると、火にさわったようにハッキリするものである」
「他力信心を獲たということは、極めてハッキリと救われた鮮明な体験である」


と親鸞会が主張することに対して異議を唱えると、今度は

「我々は実時を語っているのではない、仮時を語っているのだ」

などと反論してきそうですので一応記事として取り扱っておきます。

実時、仮時については『顕正』や『こんなことが知りたい』などにも載っていますが、今は『教学聖典(4)』問(13)を引用しておきます。

(問)
仏教で「実時」とか「仮時」というのは、どんな意味か。

(答)
○実時-午前七時とか、午後二時十分とか。
○仮時-夢のさめた時、蜂にさされた時、痛かった時とか。


本来は既にここからツッコミを入れなければならないのですが、当記事ではやめておきます。知りたい方は、下の【参照】のリンク先①をご覧下さい。

親鸞会では発足当時、会員が獲信した月日日時を体験談の中で語っていたようです。恐らく高森顕徹会長が以前所属していた『浄土真宗華光会』時代の名残でしょう。それを一念覚知の異安心だと本願寺に突っ込まれたので、会内では獲信の年月日時を語るのをやめ、実時・仮時という言葉を使って本願寺の批判に反論したのです。
ところが、実時に用事はないと言いながらも実時を問題にしていることを紅楳英顕師に論文で批判されています(【参照】②)。信一念の自覚がハッキリなければならない、ハッキリ分かるというのであれば当然、分秒まで正確でなくともその時の大体の年月日時の実時が問題となります。世事の体験でも、何十年経っても時処を鮮明に覚えているものもあるのですから、まして信一念について

一念とは疑晴れて大満足の境地に開発したひとおもいをいい、盲者の開眼の一刹那、地獄一定が極楽一定と転じた時、煩悩具足が至徳具足と転じた一刹那、明来闇去、闇去明来の一念、いままで閉塞していた心中が開発して信楽と晴れ亘った一念、言説や思惟の及ぶところではない驚天動地の一刹那をいうのである。(『顕正』p.99)

とまで強調するなら尚更時処年月、大体の実時を覚えているものでしょう。このように信一念の自覚が必ずなければならないとする親鸞会に対し、紅楳師は『まさに信一念の「覚不覚を論ずるもの」であり、異義の断を下さねばならないもの』と言われています。

では真宗の信心とはいかなるものかというと、それについては

年月を知るも障とせず、知らざるも亦功とせず、覚もよし、覚ぬもよし、共に仏智に信順するを以て当流安心の正義とす(鮮妙師『意業非意業之論』)

とあります。信一念の自覚があってもよい、なくてもよい。信一念の自覚がある人も、ない人も、共に仏智に信順したのが真宗の信心だというのです。自身は罪悪生死の凡夫、煩悩を具足せる凡夫、善根薄少にして火宅を出ることのできない、出離の縁有ること無い凡夫であり、そのような私が私のままで「必ず往生させる」という阿弥陀仏の本願の仰せを受け容れ、その御言葉に疑いなく慮りなく往生をおまかせする。それが真宗の信心、他力の信心です。親鸞会ではこのおまかせした瞬間、すなわち信一念の自覚が必ずなければならないというのですが、それは真宗の聖教上に根拠のない妄情であります。
ですから、当ブログをご覧の方で、「信心決定の瞬間にものすごい体験をする、しなければ信心決定していない」と一念の覚不覚をもって信心の有無を判定しようとしている方があれば、そういう小賢しい凡夫の浅智はひとまず置いといて、「お前を助けずばおかんぞ」という底なしの仏智の不思議を聞いて只今救われて下さい。あくまで本願を聞いて疑いない、本願の仰せにおまかせしたのが信心です。


【参照】
『21世紀の浄土真宗を考える会』実時と仮時
一念覚知の研究 紅楳英顕 伝道院紀要19号
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全くもって、その通りと味わう一味の有難さ。仮も実も自分の記憶。記憶が間に合う条件なら他力とは言われますまい。南無阿弥陀仏。

>名無し様

親鸞会では獲信を驚天動地の体験としてしまうところに問題がありますね。
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淳心房&しゃあ

Author:淳心房&しゃあ
(淳心房)
平成21年10月に親鸞会を退会し、「親鸞聖人の正しい教えを真偽検証する」ということで、専らコメンテーターとしてやってきました(^^)v
しかし、ようやく自分の中での真偽検証は終了したので、名前も改め、淳心房と名乗ります♪
ただし「真偽検証」は今まで馴れ親しんだ名前ですし、親鸞会教義が親鸞聖人の正しい教えなのかどうなのか、一人一人が真偽を検証して頂きたいと思い、ブログのタイトルとして残しました。
一人でも見て下さる方があれば幸いです☆


(しゃあ)
平成21年8月に親鸞会を退会しました。淳心房さんと共同でブログを書いています。何かありましたらメール下さい~
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(スパム防止のため@を大文字にしてあります。メール送信時は小文字に変えて下さい。)

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